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なぜコンクリ-トは振動によって締固まるのか

もう少し詳細に振動締固めの原理を見てみましょう。

練られた直後の生コンクリ-トに振動を与えると、骨材(砂などを細骨材、砂利を粗骨材と呼びます。)の動きは、与えられた振動加速度に比例し、その質量に反比例するため、大きな骨材は動きが少なく、小さな骨材ほど多く動きます。

つまり、バイブレ-タから生コンクリ-トへの振動の伝播過程では、振動周波数はほとんど変化しないのに対して、振幅は距離による減衰を生じるのです。こうして振動を与えた点を中心として、セメントペーストと細骨材は液状化し、粗骨材の 隙間を埋め、空気泡などの空間を満たし、あるいは空気泡を上方へと押し上げて密実になってゆきます。

すなわち、コンクリ-トは内部振動機の水平方向の振動によって液状化し、重力によって締固まるのです。こうして適度な時間、バイブレ-タをかけ続けるとさらに遠方にまで振動が伝わってゆきます。つまり振動源の近くはより密実になり、 その密実な部分を通じて次の部分に伝播し、漸次遠方に達してゆくのですが、密実になった部分でも振幅は吸収されてゆきますので、振動は減衰し振動効果の範囲限界が生じます。

この限界は、コンクリートとバイブレ-タの条件により異なりますが、大まかには、

  1. 太い すなわちより大きな振動加速度を発生する起振部を内蔵しているバイブレ-タ
  2. 振動伝播に適した振動部形状をしているバイブレ-タ (当社HBM-ZX )
  3. 適切な加振時間

反面、教科書には「過度の振動締固めは、骨材分離を生ずる」と警告されていますが、私どもの経験では、コンクリ-ト二次製品工場 と意図的な実験でこの様な骨材分離を見かけるだけで、建築の打設現場では「過度の振動」を経験した事はまずありません。 現場での打設失敗の過半には振動時間の不足が関係していると言えます。

私どもの ルール オブ サム (経験則) は

  1. 少なくとも骨材最大粒経と同じ太さのバイブレ-タを使え
  2. 有効範囲はバイブレ-タ直径の10倍以下と思え(つまり直径50mmのバイブレ-タは50cm以内で差しかえろ)
  3. 最低一ヶ所 18秒はかけろ。

ということです。

コンクリート打設実験の一例

↑バイブレータとセンサーの差し込み位置

内部の状態を確認する↑